
先に「夢を見る理由」の全体像を知りたい方はこちら↓
レム睡眠とノンレム睡眠は、睡眠中に周期的に現れる2つの異なる状態です。一般的には、90分前後でひとつの睡眠サイクルが作られ、その中で浅い睡眠と深い睡眠が交互に現れるとされています。
ただし、睡眠の周期や深さには個人差があり、さらにそれぞれの役割については、現在も研究が進められている段階です。
レム睡眠とノンレム睡眠とは?
レム睡眠は Rapid Eye Movement(急速眼球運動) の略で、文字通り「眼球が素早く動いている状態」が観測される睡眠段階です。
一方、ノンレム睡眠はその名の通り、レム睡眠ではない睡眠を指し、浅い睡眠から深い睡眠までいくつかの段階を含んでいます。Non-Rapid Eye Movementの略。
どちらも睡眠において重要な役割を持つと考えられていますが、具体的な働きについては複数の説があり、はっきりとした結論は出ていません。
※ ポイント
- レム睡眠:脳は比較的活発、体は動きにくい
- ノンレム睡眠:脳も体も休みやすい深い睡眠を含む
- どちらも「良い睡眠」にとって大切な要素と考えられている
レム睡眠の特徴
脳が比較的活性化している状態
レム睡眠中の脳波は、起きているときに近い状態が観測されることがあります。
その一方で、体の筋肉の動きは抑えられやすく、身体は休んでいるのに、脳はある程度活動している状態とされています。
このため、レム睡眠はしばしば「浅い眠り」と説明されることがありますが、単純に浅い・深いだけでは語れない、特徴的な睡眠段階といえます。
夢を見やすいとされる段階
一般的に、はっきりした夢の報告が多いのはレム睡眠中だと言われます。
鮮明な映像のような夢や、物語として覚えている夢は、レム睡眠のタイミングで目が覚めたときに報告されることが多いようです。
ただし、
- 「夢=レム睡眠だけで見るもの」
というわけではありません。
後述するように、ノンレム睡眠中にも夢が報告されることがあり、夢とレム睡眠を完全に同一視することはできません。
ノンレム睡眠の特徴
深い睡眠状態を含む
ノンレム睡眠は、いくつかの段階に分かれています。(3段階または4段階)
その中には、深い眠りの段階も含まれており、このときは脳波がゆっくりとした波に変化することが多いとされています。
一般的には、ノンレム睡眠のときに
- 体の休息が進みやすい
- エネルギーを回復しやすい
と考えられており、いわゆる「ぐっすり眠った」という感覚は、この深いノンレム睡眠が関係しているとされます。
夢が少ないがゼロではない
ノンレム睡眠では、「まったく夢を見ていない」というわけではありません。
レム睡眠と比べると夢の報告が少ない傾向はありますが、
- ぼんやりとしたイメージ
- 断片的な場面
- あいまいな感覚
といった形で、夢の体験が報告されることもあります。
睡眠サイクルと夢の関係
レム睡眠とノンレム睡眠は、一般的にセットになって1つのサイクルとして繰り返されます。多くの場合、
- 約90分前後で1サイクル
- 1晩で数回くり返す
- 朝方(後半)になるとレム睡眠の割合が増える
といった特徴があるとされています。
そのため、
- 起きる直前のレム睡眠で見た夢
- 朝方(後半)に入ったレム睡眠の夢
は、目が覚めたときに記憶に残りやすいと言われます。
ただし、夢の全体像については、まだ完全には解明されておらず、脳科学や心理学の分野で研究が続けられているテーマです。
※ ポイント
- 朝方(後半)のレム睡眠は長くなりやすいとされる
- そのタイミングで目が覚めると夢を覚えていることが多い
- 夢の仕組みは「完全に解明された」と言える段階ではない
レム睡眠とノンレム睡眠の役割に関する説
ここからは、レム睡眠・ノンレム睡眠の「かもしれない役割」として、研究の中で語られている代表的な説を紹介します。
記憶整理に関わるとされる説
一部の研究では、レム睡眠のときに記憶に関係する脳の領域が活動していることが報告されています。そこから、
- 睡眠中に記憶の整理や定着が行われている
- その過程で夢が現れることがある
といった説が提案されています。
ただし、これはあくまで「可能性のひとつ」であり、
- レム睡眠がどこまで記憶定着に関わっているのか
- 夢そのものがどれくらい意味を持つのか
については、はっきりとした因果関係が証明されているわけではありません。
感情処理に関する説
別の説では、夢やレム睡眠が
- 日中に体験した感情的な出来事
- ストレスや不安
などを、もう一度脳内で処理し直すような役割を持っている可能性があると考えられています。
たとえば、
- 怒りや悲しみなどの強い感情
- 印象に残る出来事
が、夢の中に別の形で現れることがあるかもしれません。
とはいえ、「夢を見れば感情が必ず整理される」といった断定的な結論には至っていません。
脳のネットワーク調整の説
さらに、睡眠中には
- 神経細胞同士のつながりを調整する
- 情報の取捨選択を行う
といった、脳のネットワークを整えるような働きがある可能性も指摘されています。
このように、レム睡眠やノンレム睡眠の役割については、いくつかの有力な仮説があるものの、
- どれか一つに決まっているわけではない
- 複数の働きが重なっている可能性もある
というのが現時点での理解に近いです。
まとめ
最後に、レム睡眠とノンレム睡眠、そして夢との関係を簡単に整理しておきます。
- レム睡眠は、脳が比較的活発で、鮮明な夢が報告されやすい段階
- ノンレム睡眠は、深い眠りが含まれ、身体の休息に関わるとされる段階
- 夢はレム睡眠・ノンレム睡眠のどちらでも起こりうる
- レム睡眠やノンレム睡眠の役割については、
記憶整理・感情処理・脳のネットワーク調整 など複数の説がある - ただし、いずれも「絶対にこうだ」と言い切れるほど明確ではなく、今も研究が続けられている
睡眠は、脳と身体にとってとても大切な時間だと考えられています。
レム睡眠とノンレム睡眠の違いを知ることは、自分の眠り方や夢との付き合い方を見直すきっかけになるかもしれません。
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